スーパーマーケットの新卒採用面接で変わった選考方法に出会いました。
同日、採用試験を受けたのは私を含めて6人。店舗の2階にある事務所の会議室に通され、前から順番に詰めて座らされました。皆、緊張していたため始まるまで会話は一切なく背筋を伸ばしたまま採用試験が始まるのを待ちます。採用担当が2名入室し、自己紹介を始めました。
話を終え、必要書類の記入をした後、採用担当から思いもよらない発言が飛び出しました。
採用担当A「どうやって選考しましょうか・・・何します?」
採用担当B「・・・」
選考を待つ我々は全員驚きの表情を隠せません。
というよりも数人は笑っています。
採用担当A「そうですね・・・それでは30分間皆さんに時間を差し上げます。この部屋から出なければ何をしても構いません。自由に過ごしてください。どうぞ!」
採用担当Aは後ろにいる担当Bの隣に座りパソコンで何やら作業を始めました。
まさかの自由時間。いったい何をすれば・・
一瞬の沈黙。凍りつく部屋。
ホントに一瞬静かになったのですが、就活生もバカじゃありません。何もせず寝ているわけにもいかないのは誰しもわかっていました。一人の就活生が椅子から立ち上がり、全員に一言。
就活生1「何やります?30分って結構長いですよ?」
一呼吸置いて、
私「何やってもいいなら皆で談笑しませんか?」
就活生2「何するか皆で話し合いましょう」
綺麗に並べてあった机を壁に寄せ、椅子だけもって部屋の中央に輪を作り話し始めました。
「何しましょうか?2グループに分かれて寸劇でもします?」と提案する学生がいましたが、30分は長いようで短いもの初対面の我々では寸劇は不可能です。
当初、私が提案していた談笑・・・
最終的には自己紹介と今までの就活の動きや世間話になりました。各々の自己紹介が始まり、後ろの採用担当AとBはパソコンで何かを打ちこむ作業をしながらも、こちらをチラチラと見ています。予測ですが、我々の人柄や性格を見る選考だったようです。
自己紹介と直近の就職活動話が終わり、15分ほど余ったので談笑が始まりました。20代の学生ですから、盛り上がるのはやはり恋愛トーク。もはや選考中だというのを忘れています。
「彼女がいる人は居ますか?」
という質問に私を含めて2名が手を上げます。
「どうやったら女性と上手に話せるのか?」や「どうやったら彼女ができる?」というように質問攻めが始まります。2人で当たり障りのないように言葉を選びながら、一つ一つ質問に答えていきます。
この10分ほどの時間の間、後ろに座っていた採用担当両名は常に大爆笑。
終了5分前になった際に採用担当Aから、
「終了5分前です。盛り上がってる最中申し訳ないのですが、せっかく話し合いをしたので今回の話の結論を全員でまとめて、誰か発表してください。」
皆で5分間話をしてまとめようとしましたが、なかなかうまくいかず時間が来ました。
発表者は選考が始まった際に先陣をきってくれた就活生1です。
採用担当A「それでは、話の結論をお願いします。」
就活生1「我々にもいつか彼女ができる日が訪れるはず!・・・以上です。」
この発言のあと、採用担当Aは大爆笑、後ろに座っている担当Bは体をプルプルと震わせながら笑いをこらえており、加えて、選考を監視カメラで見ていた人事部長が爆笑しながら部屋に入ってきて一言。
「面白い30分だった。今までこの方法で選考してきたが、こんなに選考そっちのけで自由なのは初めてだ!」と笑ってました。大笑いのまま、採用試験は終了しました。
この採用試験(一次面接)の結果は合格でした。
最初の
「談笑しませんか?」
という発言で合格が決まっていたそうです。肝が据わっているとのこと。2年ほど前に私が実際に体験した採用試験です。