私は公務員であったときに、社会保険労務士試験に合格しました。以前から脱サラの願望があったため、社会保険労務士試験に合格してからは、役所を辞めることばかり考えていました。しかし、資格があるからといっていきなり退職して独立開業なんてできるはずがありません。
そこで、いったん社会保険労務士事務所に就職して、仕事を覚えようと転職にトライしました。結論を書くと、失敗しました。
まずは、在住の県で一番大規模な事務所にコネを使って面接をしてもらいました。(ちなみに、そのコネとは、そこの副代表と仕事上で知り合っていた、という程度のものでした。)いきなり、そこの所長(業界では超有名人。かなり高齢の方ですが、現役バリバリの方でした)と個室で一対一で面談でした。
「なんで、公務員を辞めたいの?」
「どうして、うちで働きたいの?」
「今じゃなきゃダメなの?」
と質問責めです。一応、想定問答は考えて準備してはいましたが、こちらの甘い想像を超えた質問の仕方、なんといいますか、型どおりではなく、本心を読み取りたい、というストレートな質問だったため、やや圧迫気味の面接でした。
なにしろ、私は”独立したいから、ノウハウさえ盗んだら、とっとと辞める”と決めていましたが、そんなことを言えば、100%採用されません。
しかし、海千山千のベテラン所長は、私の真意を面接前からお見通しでした。
けっきょく、”公務員を辞める理由がはっきりしないんじゃないか”、”無理に今すぐ転職しなくても、一度冷静に考えた方がいいんじゃないか””社会保険労務士の仕事は、あなたが想像してるのとは違うんだよ”という風に誘導されていきました。
私も面接の途中からは、(別にこの事務所じゃなくても、他の事務所で採用されればいいや)という気持ちになっていき、そうですね、所長のおっしゃるとおりだと思います、という感じの受け答えになっていました。
会社トップとの一発勝負の面接でしたが、今考えてみれば、コネで面接の機会を与えてもらっただけで、はなから私を採用する気はなかったのだと思います。失敗は成功のもと、と言いますが、この経験が次回以降の面接に非常にいかされました。